宮崎鹿児島紀行2

20250416

時間通りにタクシーは玄関前に待機していました。私たち二人は管理人さんと二言三言立ち話をしてから玄関ドアを押し開きます。気付いた運転手が、運転席から降りて、両手を伸ばしながら”自分がやります”と云う体で大型と小型のスーツケースを左右に持つ私に近づいて来ます。

いつものように、”コツがありますから”と言って彼を制しながら自分でトランクに容れ、後部座席に乗り込みます。家人も続きます。

家人が、”コツなどなにもないでしょ。彼の方が若いのだから彼に任せたら良かったのに。”と耳元で囁きます。   

確かに、コツなど全くなく、ただ、自分で持ち上げてトランクに容れられないようでは、サイズ・重量に無理があることになるので、それを計るバロメーターとしてやっているだけです、と公式には表明していますが、本当のところは、10年位前、都心で、欧米外国人一家(父母子2人計4人)がタクシーを停めて、乗り込む際、短パン半袖姿の3~40代と覚しき屈強な父親は、小柄な高齢運転手が、いかにも重そうな大きなスーツケースをクルマのトランクになんとか持ち上げて容れようと奮闘しているのを、腕組みして眺めているだけでした。その一部始終を私は、道の反対側から目撃して義憤に駆られました。以来、スーツケースは運転手任せにせず、自分で取り回して来たという次第です。

しかし、彼女が言う通り、運転手が50代以下の世代の運転手だったら、今後は、そうさせて貰おうかなとも思います。つけて加えて、70代高齢者がスーツケースを持ち上げているところを、若い運転手がじっと見ている光景を、目撃した人物が義憤に駆られることが無いように。

今日のタクシーは、トヨタアルファードです。車内空間がとてもゆったりしていて、身体も楽に感じます。運転手から名刺を貰いました。今後、羽田空港へは、アルファード(このタクシー会社では、ほかにベルファイアも空港行きとして使用しているとのこと)のタクシーになりそうです。料金は一般車両と同じ定額ですし。

3月31日という年度末なので、当然、道路が相当程度、渋滞するだろうと予測を立て、迎車時間は十分な余裕を持たせておきました。

ところが、実際は、拍子抜けするほど、スムーズに車は進み、羽田空港着が出発の2時間近く前。

定額料金をクレジットカードで支払う際、定石(?)に則り、運転手に五百円玉を手渡したことは言うまでもありません。

空港でチェックインを済ませてから、朝、殆ど何も口に入れて来ませんでしたので、ここで、しっかり、ブランチを摂ることにします。

時間を掛けて食べ終え、手荷物検査を通過し、ゴールドカード以上のクレジットカード保有者ならば無料で利用できるカードラウンジに、電動カートの待機場所から近い距離なので、徒歩で向かいます。

羽田空港のカードラウンジは、クレジットカードの呈示がないと利用料1,000円を支払わねばなりません。高齢者がこれから新規でゴールドカードを持つ必要性はあまりないと思いますが、羽田空港を1年間で複数回利用することが明らかであれば、保有することもアリだと思います。

ここで、私は、コーヒーと黒酢を飲んだのですが、向かいのテーブルに座る30代のビジネスマンのパソコンからゲームの音が聞こえてきます。それも結構な音量で。

無視しようかどうか迷いましたが、一向に音が収まる気配がありません。皆が寛ぐラウンジでこの音量はないだろうと思い、ここは、ゲームの音を止めさせるべきだ。できるだけ穏やかに、丁寧に。

”すみません、ゲームをやられていますか。もう少し音量を下げて貰えませんか”            

”いいえ、仕事をしています。ゲームなんかやっていません。” 

”そうでしたか、失礼しました”

この短い遣り取りの最中、それまで大きく鳴っていたゲーム音がピタリと止みました。周囲を見渡すと、一列向こうの50代サラリーマンがスマートフォンのゲームの音をサイレントにしたようです。(ゲームは続けています)

前回の羽田空港での失敗に懲りて、今回、空港での振る舞いについては十分に注意していたつもりでした。まさか、今回もこんなことになるとは。

携帯電話の発するサウンドがどこから鳴っているか、とても分かり辛いのは皆様も感じたことがおありでしょう。高齢読者諸兄姉、近くで鳴っているゲームサウンドが気になって、一言文句を言ってやろうと思ったら、そのサウンドが、どこから流れて来ているのか、しっかり確かめてから、事を進めてください。

10分後、電動カートをラウンジの入口近くまで持ってくるために、私一人が先に行く必要があります。飲み物用の紙コップ2つを所定の場所に戻し、ラウンジを出る際、改めて、30代ビジネスマンに軽くお詫びをしたところ、彼もにこにこして挨拶を返してくれました。

徒歩1分で電動カートの待機場所です。カートに座り、慣れた仕草で行先設定です。搭乗ゲートを選び、出発です。

カードラウンジの入口の向かいにゆっくり進んでいると、既に彼女は入口に立っていて、通路を横断して来ます。電動カートを停めて降り、彼女を座らせ、再び出発進行。私はその後ろをゆっくり進みます。きょうの搭乗口である4番ゲート近くのロビーチェア手前20mで彼女はカートを降り、最前列3列のうち、中央の列が空いていてその真ん中に座り、手荷物を右隣の席に置きます。私は、用を足し歯を磨くためトイレに向かいます。

さて、トイレでさっぱりした後、ふと、宮崎空港からホテルへのタクシー料金が、ホテル経由で予約すると、通常料金よりも低い定額料金になることを思い出し、歩きながらホテルへの連絡を試みます。電話番号を調べ、手元に筆記用具がなく、覚えようとしますが、10桁の電話番号をいちどきに覚えられません。0985・・・・・           

スマートフォンの電話発信画面とホテルホームページ画面を行ったり来たり、漸く10桁を打ち終わって、いざ発信。

呼び出し音数回で、リダイヤル、・・・・・・。もう一度、・・・・・。なかなか繋がらないなと思いながら、先程の所に戻り、ロビーチェアに座ります。この間、意識は画面に向いたままであったことをここで白状します。

ロビーチェアに座って、いったん目を上げます。搭乗は、まだ始まっていません。目を右に転じます。彼女が手招きしています。それも焦っているように見えます。

あれ!? 彼女があっちに居るということは?・・・この席の隣に座っているのは・・・?     見知らぬ老婦人でした。

慌てて、立ち上がり、頭を下げ、そそくさと彼女の元へ。”電話に夢中で私を通り越し、あの方の荷物の上に座ろうとしていたので、あの方は、驚いて、両手で荷物を自分の方へ引っ張りどけていたわ”

しまったぁ!

それを聞いて立ち上がり、彼女の元へ歩み寄り、深々と頭を下げます。家人も”携帯電話に気を取られて・・・・・”と、後方から支援します。老婦人は、事の顛末を理解して、快く応じてくれました。

羽田空港内で、僅か30分の間に2度までも頭を下げることになろうとは、当然ですが、夢にも思いませんでした。高齢読者諸兄姉、やはり、スマートフォン画面を見ながらの歩行は禁物ですね。

やれやれ、これでは先が思いやられるなと思いながら、二人で搭乗アナウンスを待ちます。

宮崎空港からホテルまでのタクシーは、3日前までに予約しなければ定額の適用はされないことが、搭乗前に判明しました。

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