鹿児島紀行8

20231216

第3日目2

能がありませんが、指宿から、来た道をそのまま引き返します。時間帯でしょうか、鹿児島市に近づくにつれ、車の数が増えて来ます。ハッキリとした当てはありませんでしたが、鹿児島市、いや、鹿児島県最大の繁華街、天文館に行くことにしました。

走ること1時間強、天文館に到着です。駐車場の数は十分有り、駐車場探しに困ることはありません。料金も良心的。比較的、停めやすいところを選んでクルマを停めます。駐車場で停めるのが難しいところは敬遠しています。停まっている車にぶつけたり、歩行者を跳ねたりしたら最悪ですからね。ときどき、駐車場での事故をTVニュースで見る度に自戒しています。

さて、家人が、指宿から天文館までの道中、インターネットで泥縄で調べた候補の店の幾つかに、店の前まで行って見ます。夕方5時頃ですので、店の中を覗いても客はおらず、店によっては、入口がドアになっていて、中の様子が判りません。おまけにメニューなしと来ています。これは、注意信号ですね。

結局、彼女が候補に挙げた店は、全滅。私の出番です。

私も情報源はインターネットですが、そこは、経験と勘がものを言います。ざっと眺めて、候補を二つに絞って、まず1軒目に行きました。そこは雰囲気は良かったのですが、地下です。彼女の足を思って、パスします。

次なる二軒目は、表通りと交差する細い道を30mくらい入ったところに小さな看板が見えます。近くまで行くと、細い道から少し引っ込んだところに店の玄関があります。

雰囲気、風情、程よい古さ、看板の文字等々、悪くありません。確信をもって店の引き戸を引きます。

カウンターで囲われた厨房の中には主人が一人、女性給仕が二人、一人は中堅(30代くらいか)、もう一人は若手。カウンターの右奥には女性客が一人。静かな店内。期待できそう。

若手がいらっしゃいませと近づいて来ます。予約していませんが二人ですと言いながら指を二本。指の腹を見せるVサインではなく、指の背を相手に向けます。

若手は一瞬、左方向の主人に目を遣り、彼はゆっくり頷きます。

「どうぞ」とカウンターに促されます。先客の彼女が座っている長辺となるカウンターは、ゆったり座って3人、詰めて4人の長さ。長辺と90度を構成する短辺は、ゆったり座って2人、詰めて3人。私は、先客の彼女と一人分空けて、家人と二人並んで座るつもりでいましたが、家人は、短辺の角側で良いかと若手に聞き、結構ですとの返事を待って着席。この間0.5秒。

このポジションに座られたら、次の客が二人連れの場合、カウンターには座りづらいだろうなと思いつつ、私も長辺の角側に(家人と90度の位置、先客とは中2人分空けて長辺の端と端)座ることになりました。主人は、嫌がる素振りを見せず、仕事を続けています。階段がありますので、二階にも客を収容するスペースはあるようです。

渡されたメニューに”ノンアルコール”の文字を見つけて一安心。暫し、熟慮の末、ノンアルコールビール小瓶1本(グラス2個)(後にもう1本追加)、突き出し、刺身盛り合わせからスタートし、4,5品、注文し、途中、頼んだかき揚げが、彼女曰く絶品の評価で、私も美味しくいただきました。

右奥の女性客は、グラスになみなみと注がれた芋焼酎のロックを美味そうに味わっています。この時ばかりは、「焼酎、うまそうだな」と羨望の眼差しを向けてしまいました。

私たちが入店して5分後に二人客がドアを開けましたが、主人は「いっぱいです」。私たちは、ふたり顔を見合わせ、内心、ぎりぎりでラッキーと思った次第です。

次は三人客。これは中堅が名前を確認して2階に案内しました。

暫らくして、若者が一人で入って来て、「〇〇です。」と言い、主人が若手に「〇〇さんを案内して」と指示を出し、彼は短辺の奥に陣取り、若手に簡潔にオーダーします。どうやら予約客の様子。

黙々と、食べていると、ときどき、料理への称賛の声を発する右奥の彼女と目が合ったらしい家人が「どれも美味しいですね」と口火を切ります。先客もにこにこして答えます。「どちらから」「東京です」「私たちも」「いつ鹿児島に」「いつまで」「今日はどちらへ行かれましたか?」「指宿の砂むし温泉」「明日、タクシーで行こうかな」「タクシーだと高くつくから電車かバスで行ったら」等々、言葉のキャッチボールが始まりました。どうやら30代半ばか。有給取っての一人旅らしい。今日、鹿児島に着き、この店は狙いを付けて予め予約して来たとのこと。彼女がきびなごが綺麗に並んだ皿を私に見せ、「最高です!」とコメント。家人が「どうする?」と私に問い、締めにおにぎりを食べている最中でしたので、残念ながら見送ることにしました。

片や、一人で静かに食べている左奥の若者に家人が「どちらから」と声を掛け、「皆さんと同じ方面です。」彼はリモートワークを有効に利用して、ホテルで午前中勤務、午後は半休を取って観光をここ数日繰り返しているとのことで旅行の強者のようです。この日、未明に噴火した浅間山の話題となって、ニュースで聴き慣れない「山体膨張」という言葉が新鮮で、観光客としては、噴火に遭遇出来てよかったと私の言。今日は、郊外の鰻の有名店Mに行き、大変うまかったと鰻の焼き具合、大きさ、タレ等々の情報も交えて解説してくれました。明日の予定が白紙の私たちは、「明日、行ってみます」と彼の情報を最大限に尊重する返答をしました。彼女も「そのお店、有名ですよね。」と、主人を間に挟み、カウンターの端からもう一方の端の若者に投げ掛けます。

これで、カウンターの4人の客が、会話に参加して、コミュニケーションのトライアングルが成立することになりました。

腹も一杯になり、飲まない私たちは、頃合いを見計らって、8,000円台だった会計を済ませて、二人に別れを告げ、主人と給仕の二人に丁寧に決まり文句を述べて、店を後にしました。

盛りの時間の街中を駐車場までゆっくり歩き、慎重に運転してホテルに無事到着。

ラウンジでソフトドリンクで小休止した後、ジムで体を整え、温泉で疲れを癒して、早い時間に就寝。

タイトルとURLをコピーしました