鹿児島紀行5

20231112

第2日目1

10月23日 6時前に目が覚め、家人を起こさないように運動着に着替え、そ~と部屋を出ます。

24時間オープンしているジムでの朝トレーニングです。起き抜け、まだ、からだが目覚めていないときに激しい運動は禁物ですので、一旦、風呂にさっと浸かって体を温めてから、トレーニングを始めることにしました。入浴前、紙コップ2杯、入浴後、紙コップ3杯の水は固く守ります。

早朝のジムでは、体に負荷の強いダンベルトレーニングは、止しにして、ランニングマシンにします。ランニングというよりもウォーキングと表現した方が精確ですね。

運動時間と歩く(走る)速度を自由に調整できますので、25分(少ないですか?)で設定し、1km/hから始めて2km/h、3km/hと徐々にスピードを上げていきます。日常生活で通常、ひとが歩く速度は4km/hとされています。不動産の物件広告では、徒歩1分を80mで計算して表記します。すなわち4.8km/hですね。”駅から徒歩10分”は、800mの距離になります。(直線距離ではなく、道路を歩く距離です。信号待ちの時間は含みません)我が家は最寄駅から徒歩10分です。

設定速度4km/hは鼻歌交じりです。5km/hから、真面目に、意識を両脚の運びに集中します。6km/hからは、両腕を大きく振り、7km/hでは、走らないよう、大股で歩きます。8km/hで、安全バーに手を添え、歩行(走行)ベルトを見ながら、大股大急ぎで歩きます。まだいけますが、無理は禁物、ここから少しずつスピードを緩めます。設定時間が過ぎ、3分間のクールダウン。

マシンから降りると、脚が少しフラフラしています。うっすら汗を掻き、再び風呂場へ。ロッカールームで2杯の給水の後、衣類をロッカーに入れ、かけ湯を被り、湯舟に浸かり、洗い場で頭から熱めのシャワーを被り、浴室を出て、締めの給水3杯、着替えて部屋に戻ったのが午前7時。

カーテンは既に開けられていて、視界の向こうには桜島がで~んと構えています。ガウンに着替え、横になりながらTVのニュース(CNNとBBCが映ります)やワイドショーを見たり、スマートフォンをいじったりして、少し眠ります。

朝食時間は6時半から10時です。私たちは、5日間とも9時15分前後に4Fのレストランに行くことにしました。レストランは大賑わいで、この日は、入口で数分待った後、奥のテーブルに案内されます。バイキング形式ですので、好きなものを好きなだけ食べられます。若い頃は、何度も自分の席と食べ物が並んだカウンターとを往復しましたが、最近は、3度くらいです。食べ物の種類は書き切れないので省略しますが、どれも美味しく満足です。

部屋に戻り、今日のこれからをどうするか検討します。幾つかの候補から、鹿児島屈指の観光名所「仙厳園」に行くことにしました。ホテルから、クルマで20分くらいなので、昼頃出発することにして、暫し休憩します。

ホテルから渋滞なく仙厳園に到着しました。平日なのに、観光バス、自家用車で、広大な駐車場が、ごったがえしています。客を降ろすタクシー、客待ちのタクシー、乗用車から家族連れが、バスからは、団体客がゾロゾロと仙厳園入り口に向かっています。外国人観光客もあちこちに目にします。何人もの高齢の駐車場係がクルマの誘導をしています。胸からパスを下げた、おそらくボランティア通訳の初老の男性も見えます。幾つかある入口受付には、中高齢の女性が座り、入場しようとする観光客に丁寧に説明をしています。出口からは、土産をぶら下げた若い女性グループやカップルが満足気に出て来ます。

この一大観光資源のおかげで、大勢の観光客が地元に金を落とし、地元経済を潤し、雇用を発生させていることが、実感できます。

ここ仙厳園は、薩摩藩主島津氏の別邸であり、地元のお殿様の権勢が如何ほどかが良く分かります。この仙厳園から錦江湾を挟んで望む桜島が最も美しいと言われていますが、その地域で最も権力を持つ者が、最も景観の優れたところに家屋敷、別邸を構えるのは当然のことでした。

入園料一人1,600円は、入園前には、ちと高いと思いましたが、この広大な庭園や建物を維持管理するには、管理者が島津氏から鹿児島市、鹿児島市から再び島津氏へと変わったこともあって、このくらいの金額にする必要があるのは、よく判ります。

見所は沢山あるに違いありませんが、あまりに広大な為、別邸(一時は、本邸)として使用された日本家屋「御殿」に絞って見ることにしました。

幾つの間(部屋)があるか分かりませんが、江戸時代のお殿様の広大な日本家屋は、冬は寒かっただろうと思われますが、ここは鹿児島、冬でも快適だったのではないかと想像しました。多くの間を見て歩き、疲れて、長い廊下の柱に背をもたせ、脚を伸ばし、随分と長い事、そうして庭園を観たり、絶景の桜島を愛でたりして、とてもとても豊かな時間を過ごせました。二人が、廊下に座り、それぞれの柱を背もたれにして向き合って両脚を伸ばすと足が触れるか触れないかの、二つの柱の間隔でした。この年齢になると、すぐ傍を観光客が歩いて通り過ぎても動ずることなく座り続けることが出来ます。勿論、通行の邪魔にならない様に心掛けてはいました。若かった頃であれば、座ったりなぞ、決してしなかったとは思いますが。

十二分に仙厳園の空気を満喫した後、土産棟の隣のレストランで食事をしようと、庭園のごく一部を散策しながらレストランに向かいます。途中、電柱と電線の高い処に張った蜘蛛の巣に掛かって逃れようと藻掻いている蟷螂を見つけたました。なんとかして救出しなければと、辺りを見回し、傘立てにあった長い柄のビニール傘を見つけて、傘の先で蜘蛛の巣全体を払い落とすべく、二度三度試みて、蜘蛛の糸と共に蟷螂を地面に落とすことに成功しました。しかし、道路の真ん中です。このままでは、多くの道行く人たちに、いずれ、踏み潰されてしまいます。救いの手を差し伸べようと、私が、傘の先を近づけると、恩知らずな彼(彼女?)は、両の前足を上げて戦闘態勢です、将に蟷螂之斧です。へまをしそうに感じましたので、ここから先は、彼女とバトンタッチ。

彼女は、見事、難なく、蟷螂自らビニール傘の柄に這い上がらせて、それを、すーと、水平に腕を伸ばし、道の向こうの植栽の上に、そっと降ろしました。

「ここから先は、自分の責任だぞ」と蟷螂に言い渡し、再びレストランを目指します。この間、3分弱。ちょっぴり、いい気分。

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